2017年12月20日

今日のごはんは

映画や小説の中で、なんとも魅力的な料理に出会うことがある。

たっぷりのバターがしみ込んだ、エッグインザバスケット。

炭酸の効果で軟らかく仕上がる、手羽先のコーラ煮。

意外な隠し味でコク深く決まる、秘伝のハヤシライス。


特に小説の場合は、文章のみという制約の為か、かえって想像力を掻き立てられ同じものが食べたい…と、試行錯誤に走ることがある。


そんな経験のある人に、ぜひお薦めしたい短編集を見つけた。

角田光代著「彼女のこんだて帖」だ。

15の物語が収められているが、ひとつの作品の脇役が別の話では主人公になっている、いわゆるリレー形式である。どの話にも、もれなく魅力的な料理が登場し、巻末には写真つきのレシピが載っている、なんとも親切な小説である。


食べるシーンは様々な小説内に登場するが、本作は作る方にスポットを当てている。

毎日の料理は食べる側も人間なら、作る側も人間、よって気持ちのアップダウンは当然あるわけで。

調子よくトッピングを追加するあまり、サラダボウルの中がカーニバルになる日もあれば、眉を吊り上げながら親の仇がごとく大根をすりおろす日もある。

どんなことがあっても、自分で作って食べるという行為は、平常心のかけらを取り戻すきっかけになりうるし、たまに作るとっておきは日々のテコ入れになりうる。

であれば、「作る」、「食べる」、という行為は、単なる栄養補給を超えた行為だと思える。


貴方は今夜、何を食べるだろうか。


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posted by 福岡聖恵病院 at 08:00 | めぐみだより