2018年02月21日

無影樹

 当院の精神科デイケアは、「無影樹(むようじゅ)」と名付けられています。

 無影樹とは、禅語であり、影は人の分別知に根ざす無明や煩悩を意味します。

 太陽が樹の真上にある際、その影はありません。その如く、如来の光明によって照らされると人間の無明は消え失せ無心となり本来の自己の姿が発露する。その様を「無影樹」は表現しているとも考えます。

 つまり、無影樹とは、如来の光明に照らされて現出した真如、すなわち真理を意味したものとも解せます。


 仏教哲学の大斗、中山延二先生は、碧巌録十八則に出ている「無影樹下合同船」について、次のように述べてあります。


 『 無影樹下合同船とは我々の人生は皆等しくこの真理に包まれて、同じ乗合船に乗って、世の中を渡っているのであるが、其の真理を知っているものもあり、知らないものもあると言う意味を言ったものとなっている。「世の中は乗り合い船の仮り住い、よしあしともに名所旧蹟」(一休禅師)と言われるように悟ったものもあり、また「何ごとも思いもわかで世の中を明けぬ暮れぬと過しつるかな」(慈鎮和尚)というようなものもある。世はさまざまである。無影樹下合同船とはうがち得た表現である。』


 核開発競争の激化や、生命操作にまで科学が及んだ現代、千変万化流転極まりない無常の相対界(仮り住い、浮世)にあって、それを超え包む絶対界(無限、永遠、如来)に心を開くことが不安、焦躁に苛まれる我々の心の風通しを良くし、心に潤いを与える為に肝要であると信じてやみません。


 「火宅無常の世界は、万のこと皆もてそらごと・たわごと・真実あることなきに、ただ念仏のみぞ真実にておわします」(歎異鈔)


 IMG_3785.JPG

菩提樹


DSCF1257.JPG


DSCF1205.JPG

精神科デイケア「無影樹(むようじゅ)


玄関ホール観音様.JPG

聖観音菩薩

拍手する
posted by 福岡聖恵病院 at 08:00 | めぐみだより